演題

第67回・2022年・横浜 / 教育講演
EL-20-2

慢性腎臓病における心不全について

[演者] 藤井 秀毅:1
1:神戸大学大学院医学研究科腎臓内科腎・血液浄化センター

透析患者を含めた慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)の主要な死亡原因は心不全であることが知られている.しかしながら,CKD患者では心不全の診断は非常に難しいと考えられる.なぜならば,これらの患者では体液量過剰が容易に起こることが知られており,いわゆる溢水か心不全かの鑑別が非常に難しい.更に複雑なのが,心不全の病態として,心収縮力の保たれた心不全(HFpEF: heart failure with preserved ejection fraction)と心収縮力の低下した(HFrEF: heart failure with reduced ejection fraction)が存在することである.CKDでは,主要な冠動脈病変による心筋障害,冠微小循環障害によるびまん性の心筋障害,弁膜症,尿毒症物質,圧負荷,体液貯留,貧血,ミネラル骨代謝異常,体液因子による心筋障害など様々なメカニズムで心臓の障害が起こり,心不全発症につながってくる.CKD患者では特に高率に心臓の障害を認めており,明らかな原因が不明なことも多い.また,これらの患者では,心不全の治療が非常に難しいことが多く,循環器内科医も頭を悩ますことが多い.保存期CKDでは,残腎機能を考えた場合,どのタイミングで血液浄化療法を開始し,また,どこまで治療を継続するのかなど,どのように治療を行っていけばよいかまだまだ明確にされていないことが多々存在する.また,透析患者やCKDステージ4-5の患者では,心不全患者において一般的に使用される,β-ブロッカー,ACE-I/ARBが十分に使用されていないとの報告もあり,また,ミネラルコルチコイド受容体阻害薬も使用しにくいと思われる.最近では,アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤(ARNI: Angiotensin Receptor-Neprilysin Inhibitor)が心不全に対して特に使用されるようになってきているが,透析患者におけるエビデンスはまだまだ乏しい.この講演では,CKDにおける心不全について考え,また透析患者での問題についても触れたいと思う.
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