演題

EL-15-2

公認心理師の視点からみた透析医療におけるコミュニケーション

[演者] 高野 公輔:1
1:東京女子医科大学医学部精神医学

サイコネフロロジーは,腎臓病学,精神医学,心身医学,心理学,看護学など「からだ」と「こころ」にかかわる複数の学問が重なり合う領域である.サイコネフロロジーが扱うテーマは,慢性腎臓病患者や家族の心理的ケア,医療スタッフのメンタルヘルス,腎代替療法の意思決定,緩和ケアなど多様である.そして,これらの多種多様なテーマには,必ずと言っていいほど患者-医療者間のコミュニケーションが存在する.
コミュニケーションの知識やスキルは,医療専門職の重要なコンピテンシーである.医療コミュニケーションは,狭義には患者と医療者の間における「双方向の情報共有」とされており,「ケアをする人」と「ケアされる人」がお互いに情報を共有し合うこととも理解できる.
透析医療は「巻き込まれやすい医療」という指摘もあり,コミュニケーションに困難が伴うことも多い.食事や水分摂取などの自己管理,腎代替療法の選択,透析や腎移植への治療変更の意思決定,ライフスタイルの変化など,医療者がコミュニケーションスキルを生かしながら患者をケアすることが求められる場面も多い.また,医療者と患者の関係が頻回・長期にわたるという特徴があり,関係構築や心理的な距離の取りかたに戸惑うこともある.すべてのケアされる人に適用できるコミュニケーションスキルは存在しないが,多くの患者が望むコミュニケーションや関係づくりのための法則は存在する.そして,コミュニケーションは訓練をとおして一定レベルに到達することが可能なスキルである.
透析医療におけるコミュニケーションに難しさを感じることは多いが,一方で,医療者がやりがいを感じるポイントでもある.コミュニケーションという言葉は,私たちの日常生活のさまざまな場面で使われているが,その役割や意義を改めて考えることは患者をケアするために重要であろう.本演題では,公認心理師の視点から透析医療におけるコミュニケーションについて考えたい.
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