演題
EL-01-2
HIF-PH阻害薬を使用する際の注意点 |
HIF-PH阻害薬によるHIF-αの安定化は,内因性EPO産生亢進やヘプシジン産生抑制を介した体内鉄の造血への動員による貧血改善効果のみならず,細胞レベルでの低酸素応答の結果としてVEGF上昇,ブドウ糖や脂肪酸代謝のリプログラミングなど造血系以外の組織や臓器に広範な影響を及ぼす可能性がある.
VEGF上昇による悪性腫瘍の増殖や転移が懸念されるため,HIF-PH阻害薬開始の際は,ESA開始時以上に腎性貧血の鑑別診断が重要となる.ただし悪性腫瘍のスクリ-ニングについては一律である必要はなく,患者の年齢や悪性腫瘍の家族歴さらには意向などを勘案し,個々の患者毎に対応すべきであろう.さらに,VEGFの上昇は網膜や黄斑疾患を増悪させる可能性があるため,HIF-PH阻害薬開始時には眼科受診が推奨される.また,エネルギ-代謝のリプログラミングについては,特に心筋や骨格筋への長期的な影響を注意深くモニタリングする必要がある.
内服時の注意点として,ロキサデュタット,ダプロデュスタットならびにバダデュスタットは食事の影響は受けないが,エナロデュスタットは食後内服では血中濃度が著明に低下する.さらにリン吸着性ポリマ-や多価陽イオン含有薬剤との併用によりダプロデュスタット以外のHIF-PH阻害薬はその吸収が低下し効果が減弱するので,内服のタイミングには注意が必要である.
HIF-PH阻害薬使用下では,ヘプシジンの低下により貯蔵鉄が造血に有効利用されるため,特に血液透析患者ではESA以上に鉄欠乏の危険性が増加する.鉄欠乏自体あるいはHIF-αの安定化が凝固活性を亢進させ,血栓塞栓症発症に繋がる可能性が報告されてる一方,ヘム鉄摂取量が多いと脳梗塞発症リスクが増加するとの報告や,フェリチン高値が脳卒中発症後の神経学的重症度と相関するとの報告,さらには脳虚血再灌流モデルにおいてアポトランスフェリン が神経細胞保護的作用を有する可能性などが報告されており,これまで以上に鉄欠乏に対し注意喚起することは重要ではあるが,鉄過剰もまた避けるべきである.本講演では,実臨床におけるHIF-PH阻害薬使用時の注意点について具体的に解説する.
VEGF上昇による悪性腫瘍の増殖や転移が懸念されるため,HIF-PH阻害薬開始の際は,ESA開始時以上に腎性貧血の鑑別診断が重要となる.ただし悪性腫瘍のスクリ-ニングについては一律である必要はなく,患者の年齢や悪性腫瘍の家族歴さらには意向などを勘案し,個々の患者毎に対応すべきであろう.さらに,VEGFの上昇は網膜や黄斑疾患を増悪させる可能性があるため,HIF-PH阻害薬開始時には眼科受診が推奨される.また,エネルギ-代謝のリプログラミングについては,特に心筋や骨格筋への長期的な影響を注意深くモニタリングする必要がある.
内服時の注意点として,ロキサデュタット,ダプロデュスタットならびにバダデュスタットは食事の影響は受けないが,エナロデュスタットは食後内服では血中濃度が著明に低下する.さらにリン吸着性ポリマ-や多価陽イオン含有薬剤との併用によりダプロデュスタット以外のHIF-PH阻害薬はその吸収が低下し効果が減弱するので,内服のタイミングには注意が必要である.
HIF-PH阻害薬使用下では,ヘプシジンの低下により貯蔵鉄が造血に有効利用されるため,特に血液透析患者ではESA以上に鉄欠乏の危険性が増加する.鉄欠乏自体あるいはHIF-αの安定化が凝固活性を亢進させ,血栓塞栓症発症に繋がる可能性が報告されてる一方,ヘム鉄摂取量が多いと脳梗塞発症リスクが増加するとの報告や,フェリチン高値が脳卒中発症後の神経学的重症度と相関するとの報告,さらには脳虚血再灌流モデルにおいてアポトランスフェリン が神経細胞保護的作用を有する可能性などが報告されており,これまで以上に鉄欠乏に対し注意喚起することは重要ではあるが,鉄過剰もまた避けるべきである.本講演では,実臨床におけるHIF-PH阻害薬使用時の注意点について具体的に解説する.