演題

TW-01-2-5

女性血管外科医としての可能性と限界

[演者] 高井 佳菜子:1
[共同演者] 中川 敬也:2, 山内 孝:2
1:市立東大阪医療センター集中治療部, 2:市立東大阪医療センター心臓血管外科

出身大学の千葉大学では救急部・集中治療部で血液浄化を盛んに行っていたことが,最初に透析医療に興味を持つきっかけになった.その後自身が血管外科に進みバスキュラーアクセスに関わり始めた.私の経験を通して,透析,特にバスキュラーアクセスの作製に携わることのやりがいや悩みをお伝えできればと思う.血管外科の手術内容の中で内シャント造設は手術時間が短く術後トラブルも少ないことから,女性として自身の生活との両立を図る上で従事しやすい分野といえる.当院で2020年4月から2021年7月に新規に内シャント造設術を施行し透析導入となった患者は62例で,初期成功率は88.7%であった.透析導入後に再建を余儀なくされる場合,入院期間も長くなる上,2回目の手術に対する患者の負担は大きい.そこで手術後の静脈発達不良を防ぐべく,手術中の工夫としてサイザーの使用を導入した.サイザーで静脈径を計測することで発達不良を予測することができる上,サイザーには静脈拡張の効果もある.術後成績にまだ改善の余地があると考え,新しい工夫をすることに,臨床医として非常にやりがいを感じる.私は現在妊娠中で放射線被曝を避けるため血管造影を伴う血管外科の他の手術には入ることができないが,妊婦であっても内シャント造設術施行は可能であるため仕事にやりがいを感じて続けることができている.しかし一方で妊娠中は当直免除や担当症例数制限などのため周囲のメディカルスタッフに負担をかけており,心苦しく思うのも事実である.また,産休・育休中にも内シャント造設術をできる体制づくりのため,腎臓内科・放射線科の若手医師の養成を行っている.心臓血管外科専門医の指導のもとに他科の医師が造設術を施行できる仕組みづくりはほぼ整った.血管外科医としての復帰を目標とした産休・育休中の過ごし方のプランについても提示し,女性としての可能性と限界についてお話ししたい.
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