演題

第67回・2022年・横浜 / Plenary Session
PS-3

透析患者のCovid-19ワクチン接種後の抗体価の推移 

[演者] 竜崎 崇和:1
[共同演者] 吉藤 歩:1
1:東京都済生会中央病院腎臓内科

日本透析医会・日本透析医学会・日本腎臓学会 新型コロナウイルス感染対策合同委員会の報告によれば,新型コロナウイルスに罹患した際の透析患者の死亡率は,ワクチン普及前は16%(転帰判明者では31%)といわれていた.ワクチン接種の普及により,死亡率は大幅に改善し,2022年2月17日現在のワクチン2回接種者での死亡率は3.4%(転帰判明者では8.0%)と,改善著しいが,一般人口と比較すると依然予後は悪い.ワクチン接種後に中和抗体が陽性となる確率は,一般人口で1回目の接種3~4週後には93%~95%,透析患者では18%~43% であったが,2回目の接種後約1か月後では透析患者でも82%~96%に上昇するとの報告や,透析患者群のワクチン接種後の抗体価は対照群の約40%と有意に低値であったという報告もある.さらに,罹患患者のSARS-CoV-2 IgG値は,6か月で著明に減少するという報告もある.それらを考慮すると,透析患者の免疫保護期間については一般人口よりも短くなることも予想される.そのため,当学会感染対策委員会では,全国に参加施設を募り,透析患者と一般人口のSARS-CoV-2 IgGの抗体価のワクチン接種後の経時的変化を中心とする学会主導の治験を施行している.透析患者では,抗体価が十分であっても罹患する例があり,T-SPOT COVIDにて細胞性免疫の経時的検討も,スパイク蛋白への抗体と中和抗体との関係性についても追加検討している.2022年2月時点では解析途中ではあるが,開示可能なデータのみ抄録で紹介する.ワクチン接種副反応は2回接種後に対照群(C群)より透析群(H群)で発熱と嘔気が有意に増加していた.H群では一回目接種2-3週間,2回目接種2-3週間,3か月後ともにC群より抗体価は低い傾向ではあったが,有意であったのは2回目接種後2-3週と3カ月後であった.ワクチン接種後基準値未到達率は,1回目接種2-3週間後はC群14%H群26%となり,有意にH群で多かったが,2回目接種後は差が無くなった.本プレナリーセッションではその他のデータも含め概要を発表する.
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