演題
第67回・2022年・横浜 / 特別講演
SL-04
透析の食事・栄養管理とSDGsを求めて |
はじめに 今回,土谷大会長よりお話を頂いた際に何を皆様にお伝えすればいいのか大変苦悩した.透析分野において栄養管理・食事療法の在り方とSustainable Development Goals(持続可能な開発目標):SDGsとは何ぞや!という問いかけではないだろうか.2015年9月に国連サミットにおいて17の目標が掲げられ採択され,多くの国々では2030年までの15年間で達成するための知恵を絞っている.私共は17の項目の内2,3,4,8,9の5項目について私見を交え発表する.目標2:飢餓をゼロにしよう!高齢化が進む透析患者では食事も十分摂取できない者も少なくない.嘗ては,食事摂取量が多く透析間体重増加が問題となっていたが,そのような患者は激減し,今は食事摂取量が不足気味で低栄養が問題となっている.フレイル・サルコペニア予防・対策が栄養管理の課題である.目標3:すべての人に健康と福祉を!透析患者においては,安定した透析生活の維持と社会的な福祉の充実が課題である.透析スタッフとの関りだけではなく,食支援を通じて家族を支え,そして地域の人たちとの触れ合いができる福祉社会が求められている.目標4:質の高い教育をみんなに!患者は病気と治療に関しての教育を受ける権利があり医療者は患者に最も適切な教育を行う義務がある.栄養教育が適切に行われれば治療効果が望め透析導入時期や生命予後にも大きく影響する.目標8:働き甲斐も経済成長も!透析療法が開始すると現役世代では移動や退職を余儀なくされる人が多くいる.収入が減り食事に費やす費用は削減される.限られた時間内での仕事の重圧から食生活が乱れ栄養状態も低下する.我が国では,障害者が仕事を継続できる組織作りはまだ始まったばかり.働きがいのある職場で経済的安定を維持できることが栄養状態の維持に繋がる.目標9:産業と技術革新の基盤づくり人工腎臓ができれば夢のような生活が待っている.しかし,2030年までには難しい.今の透析療法が続くなら患者にとって安心して食べれる低リンで低カリウム,低Naなどの食品開発ができれば吉報といえる.制限を感じさせない食品がもっと安価で簡単に手に入ればhappyである.